脳が異常をきたし、体を動かすために必要な信号を送る物質であるドーパミンが不足してしまうことで様々な運動症状が出る病気です。50代以降での発症が多く、加齢とともに発症率が高くなることが知られています。原因はまだ完全には分かっていませんが、症状を適切に管理しながら、長く自分らしい生活を続けていくことができる病気でもあります。
出典:Su D, Cui Y, He C, et al. Global, regional, and national burden of Parkinson's disease, 1990–2021, and projections to 2050. BMJ. 2025;388:e080952. https://doi.org/10.1136/bmj-2024-080952
パーキンソン病には4つの代表的な運動症状があります。これらが複合して現れることが多く、症状の現れ方は人によって異なります。
動作、日常の動きのひとつひとつが非常にゆっくり、小さくなります。「歩くのが遅くなったね」「歩幅が狭くなったね」「腕が振れていないね」など、他人に言われて気づくことも多いです。動きにくくなることから、活動する範囲が狭まってしまい、筋力低下や体力低下を感じることもあります。
座っていると手足が震えたり、テレビを見ている時や体の力を抜いた時など、安静時に手や足に細やかなふるえが起こります。発症初期には体の片側のみに現れることが多いと言われています。動いている時にはふるえが止まることが多いのが特徴です。
関節が硬くなってしまったり、腕や足、体幹の筋肉がこわばってしまうことで、自分でスムーズに体を動かすことが難しくなります。初期の段階では自覚症状があまりなく、診察によって見つかることが多い症状です。医師が関節を動かそうとするとカクカクするような抵抗が見られます。
転びやすくなってしまったり、体のバランスが悪くなり、体が傾くと元の姿勢に戻りにくくなることがあります。たとえば引き出しや冷蔵庫の扉を開いた時にそのまま倒れてしまうことなどがあります。ある程度病気が進行してきた時に出やすい症状です。
パーキンソン病の運動症状の多くは左右どちらかの片側から現れます。進行はN型に進むとも言われており、右手に出た場合は右足→左手→左足の順番です。ただし、進行の具合は一人ひとり個性があり、人それぞれです。
最も広く知られているのが「ホーン・ヤールの重症度分類」です。運動機能の程度に応じて1〜5度の5段階に分類されます。
※ 重症度分類によっては国の保障制度が異なりますので、主治医に確認しておくことをおすすめします。
パーキンソン病は「体が動かしにくくなる」運動症状が注目されがちですが、実際には睡眠障害・便秘・嗅覚低下・うつ・認知機能の変化など、多岐にわたる非運動症状が同時に現れることが知られています。
研究によれば、これらの非運動症状は運動症状が出るより約20年前から始まっている可能性があります。まさに「氷山の一角」——表面に見えている運動症状の水面下に、より広範な非運動症状が潜んでいるのです。
非運動症状は日常生活の質(QOL)に大きく影響します。疲れやすさ・気力の低下・睡眠の乱れといった症状は、本人だけでなく介護する家族の生活にも影響を及ぼします。運動症状と同様に、非運動症状についても主治医や専門職に遠慮なく相談することが大切です。
※ 全ての方に全ての症状が出るわけではありません。気になる症状があれば、主治医にご相談ください。